廃業の理由は様々な状況がある。高齢の医師が引退のタイミングで廃業というのが最も一般的。しかしオンライン請求や集患に行き詰まり、経営難ゆえに廃業という事例も目に付く。また、資金運営面では銀行の貸し渋りなどを背景に診療報酬を担保にした貸金業者による融資が10数年前から広まっっている。資金繰りが悪化し、銀行から見放された医療機関が苦肉の策として違法金利を受け入れて資金調達に走る場合もあるという事だ。民間病院の4分の1が赤字経営といわれている。
医師不足問題
厚生労働省は、1948年の医師数算定法に定められた「標準医師数」に基づき「医師不足はなく、偏在しているだけである」という見解を守り通していた。しかし臨床研修医制度の影響があり、2008年6月、舛添要一厚労相のもと「安心と希望の医療確保ビジョン」が打ち出された。同年12月19日、医師不足を解消するため、厚生労働省と文部科学省が医師の臨床研修制度の見直し案を厚労・文科合同の専門家検討会に提示した。
臨床研修制度は医師免許の取得後2年間、診療研修を積む制度で平成16年度から導入された。それまでは、出身大学の医局での研修が中心であったが、導入後は自由に研修先が選べる様になった。しかし、待遇の良い都市部の民間病院にそれが集中し地域偏在が生じた。また、働き手となる研修医を確保しにくくなった大学病院は、派遣していた医師を関連病院から引き揚げる動きも相次いだ。これにより、民間病院が閉鎖される事例も相次いだ。これが医師不足の原因とも言われている。こうした事例の中で打ち出された見直し案は、病院が研修医を募集するときの定員に上限を設けることや、地域医療の研修を一定期間義務付けることを盛り込んだ
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