松尾鉱山緑ヶ丘アパート 〜冬〜  後編
2度目の松尾は、前回来た夏と比べると、まるで違う場所の様。
ここは、自然が支配する世界。
人が確かにそこに居た痕跡はあるものの、それは自然の驚異によって、普段絶対に見ることの出来ない世界を織り成していた。
猛烈な風から解放され地吹雪によって肩に積もった雪を払う。
手足は思う様に動かない。
肌が露出した顔はあまりの寒さに痛みが走っている。
それでも、風から解放され安堵する。
建物内に吹き付ける風は、粉雪を入り込ませ、その過程を目の前に晒す。

そう、これが見たかった。

廊下には、あるべきではない雪が山の様に吹き込んでいる。
これが見たいが為に、冬の松尾に挑んでいた。
次 へ