ソープランド Qシャトー
日常生活に疲れた私は、偽りの愛を求めてある街に辿りついていた。
道端には空き缶やタバコの吸殻、ビルの上には錆びた支柱に剥がれた看板。
野良猫が日向で毛づくろいをし、コインパーキングは満車になるまで程遠い空き。
そんな殺伐とした風俗街を歩く。
看板には「○○学園」「入浴料○○円」などといった文字が並ぶ。
まだ外は明るい所為か、店前に立つお兄さんは少ない。
こんな風俗街は、疲れきって眠りにつきたい自分を見ている様でなにか物悲しい。

「さて、どのお店に入るか…」
風俗街の一番奥まで行った所で、一際目立つ存在のお城の様なお店。
ここにしよう。
ロビーは、外観とは違って安っぽい絵が大きく飾られており、吹き抜けになっている高い天井からはシャンデリアがぶら下がっている。
偽りの愛を求めるには、これくらいのチープな演出がちょうどいいのだろう。
赤い絨毯が敷かれている廊下を歩き着いた部屋は、2部屋に分かれていて奥の部屋には浴槽、手前の部屋にベット。
湯がベットの部屋に流れてこない様にちょっとした段差がある程度で、仕切りは腰くらいの高さの壁。
スケベそうな椅子に、タイルで描かれた絵、鏡に映る自分、どれをとっても安っぽい。
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