夢から覚めようとしている。
あの日、粉雪と桜の花びらが舞い散る中で見始めた夢。

その夢はきっと間違っていると気づいていた。
それでも……
廃墟サイトを始めた頃からの夢。
冬の松尾、雪に埋もれた松尾を見てみたい。
そう思ってはいたけれど、行く機会も装備も経験もなかった。雪装備、車の対雪使用化、色々と不安はよぎったが、行ってしまえば不安は吹き飛ぶ、そう思っていた。
現地の道はドライ、ウエット、凍結、積雪となかなかのコンディションだったが、比較的恵まれた環境だった。まさか道路が乾いているところがあるとは思わなかった。
天候は良かったのだが風が強い。
風の所為で体感温度もグッと下がる。
肌が露出しているところは痛み、厚着の所為で動きも鈍る。
しかし幸いな事に、雪はカチコチに固まっていて、予想していたより足は埋まらない。
深く埋まったところで膝上。
滞在に時間はかかったが、それでも充実感いっぱいの心地よい疲労感だった。

季節ごとに見たい景色、そう思ってならない。

今回の松尾、自分の廃墟史にまたひとつ大切な時間を刻んだ。
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